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2017/08/07 up

確定申告で損益通算ができる所得には何がある? その仕組みを知ろう

text by 高橋広貴

疑問に思う女性

個人事業主の中には、複数の収入をお持ちの方もいるでしょう。収入によっては、経費を差し引いた所得が赤字になっているものもあるかもしれません。その場合、所得の種類によっては黒字の所得から赤字の所得を差し引くことができる「損益通算」をできる場合があります。実は、損益通算を行うと、利益を抑えて節税につながることも。今回は損益通算の概要と方法、注意点を解説いたします。

損益通算とは?

損益通算とは、所得の黒字(利益)と赤字(損失額)を相殺する計算のことです。損益通算ができる(黒字の所得から差し引くことができる)所得は、以下の4つの所得の赤字に限られています。

<損益通算できる所得>

  • 事業所得……飲食店経営者や建築業の一人親方、漁業や農業、医師、弁護士の方など事業を営んでいる方がその事業から得る所得です。
  • 不動産所得……土地や建物などの不動産の貸付けによって得る所得です。
  • 総合課税の譲渡所得……ゴルフの会員権、土地や建物、株式以外の資産を売ったときに発生した所得に対する課税方法が総合課税です。
    ※総合課税とは、各所得を合算して税金を計算する制度です。反対の制度が源泉分離課税であり、各所得一つ一つに対して税金を計算する制度です。
  • 山林所得……山林を伐採して譲渡、または立木のままで譲渡することによって発生する所得です。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、50ヘクタール以上で事業所得、50ヘクタール未満で雑所得になります。また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。

これらの赤字の金額は、それぞれ次の順序でほかの黒字の所得金額から差し引くことができます。

■事業所得、不動産所得事業所得と不動産所得で発生した赤字は、最初に経常所得(※)の黒字から差し引きます。それでも赤字部分が残っている場合は、総合課税の譲渡所得、一時所得、山林所得、退職所得の順番で黒字から差し引いていきます。
※経常所得とは、事業所得や不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得をいいます。

■総合課税の譲渡所得総合課税の譲渡所得の赤字は、最初に一時所得の黒字から差し引きます。それでも赤字が残っている場合には、経常所得、山林所得、退職所得の順番に差し引きます。

■山林所得山林所得の赤字は、経常所得、総合課税の譲渡所得、一時所得、退職所得の順番に差し引くことができます。

損益通算の対象外となるケースは?

損益通算ができる4つの所得であっても、その内容によっては損益通算の対象外となることがあります。

(1)不動産所得や譲渡所得の赤字のうち、生活に通常必要でない資産(※)の赤字
※生活に通常必要でない資産とは、別荘や骨とう品、事業用以外の競走馬、ゴルフ会員券、リゾート会員券などの資産。
(2)不動産所得の赤字において、必要経費の計算に土地等の取得時に借りたお金の利子
(3)不動産所得が発生する事業を行っている民法組合などの個人組合員(組合事業に係る重要な業務を執行する個人組合員を除く)の組合事業から発生した赤字
(4)土地建物の譲渡所得の黒字や赤字
※ただし、居住用財産の買換えの譲渡損失や特定居住用財産の譲渡損失金額については、一定の要件の下で損益通算することができます。

損益通算を理解していれば赤字が発生しているときに、節税を行うことができます。損益通算に関して、しっかりと知識をつけて確定申告に臨みましょう。

(文:高橋広貴 編集:ノオト)