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2017/03/17 up

期限を過ぎてから申告漏れや申告間違いに気付いた際の対応法&注意点

text by 岸本良太

手帳を見て慌てる女性

所得税の確定申告の期限は毎年3月15日です。では、この期限を越えてしまうとどうなるのでしょうか? また、「申告はしたけど、納税を忘れていた」「申告後に内容の間違いに気付いた」といった場合についても、それぞれ解説していきます。
※以下、この記事中で「確定申告」「申告」といえば「所得税の確定申告」を指すものとします。

確定申告の期限を過ぎてしまったらどうする?

答えはカンタン! いますぐ申告してください。過ぎてしまうと罰金を支払う必要があり、期限を過ぎれば過ぎるほどその金額が大きくなってしまうからです。では、どのような罰金があり、どれだけの金額となるのでしょうか?

■延滞税

延滞税は、納付期限(通常は確定申告期限の3月15日)の翌日から納付するまでの日数に応じて、本来納めるべき所得税に加算されます。

(1)納付すべき所得税額(1万円未満切り捨て)×延滞税の割合(※1)×3月16日から納税した日または2カ月を経過する日までの日数÷365日
(2)納付すべき所得税額(1万円未満切り捨て)×延滞税の割合(※2)×2カ月を経過する日の翌日から納税した日までの日数÷365日

(1)の金額(1円未満切り捨て)+(2)の金額(1円未満切り捨て)=延滞税額(100円未満切り捨て)

※1
申告書提出の翌日から2カ月を経過する日まで
年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
※2
申告書提出の翌日から2カ月を経過した日以後
年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

特例基準割合が何なのか、というと話が複雑になりますので、上記(1)(2)の割合は下表の通りであると理解してください。この割合は国税庁のウェブサイトに掲載されています。

延滞税の割合

出典:国税庁ウェブサイト|延滞税の割合

<例>
2016年分の申告を2017年6月30日に提出し、その日に所得税を20万円納付した場合 (1)20万円×2.7%×61日÷365日=902円
(2)20万円×9.0%×46日÷365日=2,268円
(1)の902円+(2)の2,268円=3,170円
→100円未満は切り捨てるので、延滞税額は3,100円
この例では所得税と延滞税を合わせて20万3,100円の納付が必要です。

これらの計算式からわかるとおり、申告する日が遅くなればなるほど、さらに税金を納付する日が遅くなればなるほど、延滞税の金額は大きくなります。特に、申告後に納付する日が遅くなった場合の罰金割合が大きいため、期限後の申告になった場合、納付はできるだけ同じ日に済ませてしまいましょう。

 

■無申告加算税

期限を過ぎて申告すると、延滞税のほかにも無申告加算税を課される場合があります。

(1)原則
納付すべき所得税額が50万円以下の場合……納付すべき所得税額×15%
納付すべき所得税額が50万円超の場合……50万円×15%+(納付すべき所得税額-50万円)×20%
(2)税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合
納付すべき所得税額が50万円以下の場合……納付すべき所得税額×10%
納付すべき所得税額が50万円超の場合……50万円×10%+(納付すべき所得税額-50万円)×15%
(3)下記要件をすべて満たす場合……無申告加算税は課されない。

1 その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
2 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1)その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2)その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
出典:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

<例> 2016年分の申告を2017年6月30日に提出し、その日に所得税を20万円納付した場合 ※税務署からの調査は受けていなかったものとする。
20万円×10%=2万円

この例では、所得税、延滞税と無申告加算税を合わせて22万1,500円の納付が必要です。

これらの要件からわかるとおり、やはり期限を過ぎても、できる限り早く申告することが重要だといえます。また、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合、2015年分の確定申告までは課される料率が5%でした。しかし、2016年分からはこの料率が10%となり、高く見直されていることを踏まえると、無申告者への風当たりは強くなってきているといえます。

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確定申告はしたけど、あとから間違いに気付いたらどうする?

確定申告はしっかり期限内にしたけど、あとから間違いに気付いたというケースはどうすればいいのでしょうか? これについては、大きく2つの場合に分かれます。売り上げの計上漏れがあったなど納めるべき税金が漏れていた場合(還付された税金が多すぎた場合)と、所得控除の記載漏れがあったなど納めた税金が多すぎた場合(還付されるべき税金が漏れていた場合)です。

 

(1)納めるべき税金が漏れていた場合(還付された税金が多すぎた場合)

この場合、「修正申告」という方法で、確定申告をやり直します。また、間違いに気付いたときには、早めに申告することが必要です。仮に税務署からの指摘が先に入り修正申告をすることになった場合、「過少申告加算税」という罰金を科されるからです。

 

■過少申告加算税

新たに納めることになった所得税×10%(※)
(※)新たに納める税額が当初の税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%

<例> 当初の税額が40万円で、新たに納める税額が60万円だった場合50万円×10%+(60万円-50万円)×15%=6万5,000円(過少申告加算税)
よって、修正申告時には66万5,000円の税金を納める必要があります。

以前は、税務署から調査をする旨の連絡があっても、事前に申告していれば過少申告加算税は課されていませんでした。これが2016年分の確定申告からは、たとえ調査前に修正申告していても、税務署から調査の連絡があったことをもって過少申告加算税が課されます。納税額に課される料率は、50万円までは5%、50万円を超える部分については10%です。税務調査後に修正申告する場合に比べ、その金額は低いものの、やはり納税者への取り締まりは厳しくなっているといえるでしょう。

修正申告書の作成については、国税庁ウェブサイトを利用するのが一番です。修正申告書作成のための専用のコーナーが設けられていますので、手順に従って入力していけば申告書が作成できます。

 

(2)納めた税金が多すぎた場合(還付されるべき税金が漏れていた場合)

「更正の請求」という手続きを踏むことで、申告内容の修正ができます。手順としては、更正の請求書を記入し、管轄の税務署に提出します。税務署でその内容を検討し、請求が認められた場合には税金の還付を受けることができます。よって、必ず受理されるわけではなく、また請求内容通りの内容に更正されないこともあります。その場合でも、不服申し立てをすることはできません。

請求の期限については、従来申告期限から1年間だったところ、2011年分の確定申告からは5年間に延長されています。つまり、2016年分の確定申告については、2017年3月15日が申告期限ですので、更正の請求は2022年3月15日までに行うことが必要です。ただし、税務署側で請求内容の調査中にその期限を過ぎてしまった場合、更正による還付を受けられないことがあります。そのため、おおむね期限の3カ月前までには請求書を提出するように案内されています。

更正の請求を行う際には、事実を証明する書類を合わせて提出することが必要です。また、仮に事実と異なる内容を記載して更正の請求を行った場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則があります。

更正の請求書は国税のウェブサイトにある書式を印刷して利用するか、修正申告と同様に専用コーナーの指示に従ってフォームに入力していくという方法があります。

【「更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等」欄及び「添付した書類」欄の記載例】
これらの欄の記載に当たっては、例えば、次のように記載してください。
○ 事業所得の金額について誤りがあった場合
事業所得の金額について誤りがあった場合

○ 医療費控除について控除額に誤りがあった場合
医療費控除について控除額に誤りがあった場合

○ 社会保険料控除について控除額に誤りがあった場合
社会保険料控除について控除額に誤りがあった場合

○ 扶養控除について控除額に誤りがあった場合
扶養控除について控除額に誤りがあった場合
※ 控除対象扶養親族の個人番号を記載する必要はありません。

○ 事業所得の金額について誤りがあった場合
事業所得の金額について誤りがあった場合
出典:国税庁|平成 年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求書・書き方【平成28年分以降用】

確定申告を忘れていた場合、とにかく早く申告することが重要です。そして、納税を早めに、できれば申告と同時に行うことです。そうすることで、罰金を少なく抑えることができます。毎年、申告することはわかっていても、どうしても期限を過ぎてしまうという方には、外部の会計サービスを利用することも一つの手です。最近では、ウェブサービスやアプリによるサービスも進化していて、申告までの流れや手続き漏れなどを連絡してくれる機能も充実しています。不安な人は、そうしたサービスを利用してみるといいかもしれませんね。

(岸本良太+ノオト)

この記事の筆者

岸本良太

株式会社エフアンドエム。2001年入社。会計サービスの営業職として配属。その後、子会社でのシステム開発業務、営業本部でのデータ分析業務などを経て、経理部へ。現在は主に管理会計と決算資料作成を担当。

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