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2016/08/23 up

美容院・エステ事業主の消費税を下げる「簡易課税制度」と「みなし仕入率」

text by 岸本良太

美容室の内観

美容院やエステサロン、ネイルサロンなどを経営している個人事業主の場合、「簡易課税制度」によって消費税の納税額を抑えられるかもしれません。この制度について、節税のカギを握る「みなし仕入率」との上手な付き合い方とともに解説します(参考:国税庁 No.6505 簡易課税制度)。

消費税の簡易課税制度の適用条件

消費税には、本則課税と簡易課税の2種類の計算方法があります。簡易課税とは、本則課税よりも簡便に消費税を計算できる方法で、以下のいずれにも該当する場合にのみ、選択できます。

■簡易課税制度の適用条件 *下記のいずれにも該当すること
(1)課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下
(2)簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前(課税期間の開始前日まで)に提出している

消費税の簡易課税制度と「みなし仕入率」

本則課税の場合、消費税の納税額は次のように計算します。

課税売上等にかかる消費税額-課税仕入等にかかる消費税額(仕入控除税額)

簡易課税ならば、「課税仕入等にかかる消費税額(仕入控除税額)」を、課税売上高に対する税額の一定割合(みなし仕入率)にすることができます。

みなし仕入率は、事業内容によってパーセンテージが定められています。当然ながら、みなし仕入税率は高ければ高いほど控除額が増えるため、節税になるといえます。

■みなし仕入率一覧第1種事業(卸売業)……90%
第2種事業(小売業)……80%
第3種事業(製造業等)……70%
第4種事業(その他の事業) ……60%
第5種事業(サービス業等) ……50%
第6種事業(不動産業)……40%

美容院、エステサロン、ネイルサロンのみなし仕入率は?

美容院のカットやパーマ、エステサロン、ネイルサロンの施術は、第5種事業(サービス業等)に該当します。ただし、美容院でのシャンプーやトリートメントの販売、エステサロンでの化粧品の販売などは、第2種事業(小売業)に該当します。

このように、みなし仕入率の事業区分が異なる場合、仕入控除税額は加重平均によって求めます。

仕入控除税額=(課税標準額に対する消費税額-売上に係る対価の変換等の金額に係る消費税額)×(第2種事業に係る消費税額×80%+第5種事業に係る消費税額×50%)/(第2種事業に係る消費税額+第5種事業に係る消費税)

売上は事業ごとに区分して記帳しましょう

事業ごとにみなし仕入率を変えるには、売上を事業ごとに区分して記帳する必要があります。もし区分していない場合は、一番低いみなし仕入率が適用されます。美容院・エステサロンの場合は、すべて第5種事業と判断され、みなし仕入率は50%になります。つまり、本来第2種事業(みなし仕入率80%)となる分も低い仕入率で計算されるため、納める消費税額が大きくなってしまうのです。

確定申告で「簡易課税制度」を選択するには、事前の手続きが必要です。また、いったん受理されてしまえば、2年間は必ず適用しなければなりません。しかし、消費税の計算は複雑な点も多く、そもそも簡易課税制度を選択するメリットがあるのかどうかは、素人ではなかなか判断しにくいもの。選択を検討したい場合は、税理士などの専門家に相談してみるといいでしょう。

(岸本良太+ノオト)

この記事の筆者

岸本良太

株式会社エフアンドエム。2001年入社。会計サービスの営業職として配属。その後、子会社でのシステム開発業務、営業本部でのデータ分析業務などを経て、経理部へ。現在は主に管理会計と決算資料作成を担当。

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