個人事業主
クローズアップメディア

> マルナゲとは?

2017/03/31 up

会社員の副業、確定申告漏れで追徴課税の可能性に注意! エフアンドエム勉強会レポート

text by 末吉陽子

確定申告のイベントの案内

「業務に専念してほしい」「企業の秘密を保持できない」といった理由から、これまで会社員は原則禁止とされていた“副業”。しかし、いまや政府主導の「働き方改革」の一環で、副業解禁の流れが加速しています。

最近は、クラウドソーシングでさまざまな仕事を発注できるようになり、副業の選択肢も増えているといえるでしょう。現在副業している人も、これから副業を考えている人も、ないがしろにできないのが確定申告です。副業で一定以上の収入があれば、必ず確定申告をしなくてはいけません。

そこで今回、副業で働く人などを支援するプラットフォーム事業者が多く加盟している一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社エフアンドエムの共催で、副業向けの確定申告勉会を実施。そのハイライトをレポートします。

解説する松木さん

副業で得たお金は、どの所得に該当する?

まずは多くの人が混同しやすい「収入」と「所得」の違いから、解説が始まりました。
「税務上、『収入』と『所得』はしっかり分けられます。入ってくるお金の総額『収入』が同じでも、『所得』の種類によって控除額や必要経費が異なります。そのため、課税対象になる所得金額が変わり、それに応じて所得税額にも違いが出てきます」(講師エフアンドエム松木淳 以下同)

副業に関する主な所得の種類は、以下の通りです。

(1)給与所得 : パート、アルバイトなど
(2)事業所得 : 飲食業、サービス業などの事業によるもの
(3)雑所得 : ネットオークション、フリーマーケットなど
(4)不動産所得 : アパート、駐車場、土地などの賃料
(5)譲渡所得 : 株取引など

なかでも、会社の給与所得に副業の「給与所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかがプラスされるケースがよく見受けられるのだとか。会社員で副業している場合、確定申告が必要になるのは以下のパターンです。

(1)給与所得が本業1カ所のみで、副業の所得金額が年20万円を超えている場合。

(2)給与所得が本業と副業の2カ所以上あり、年末調整をしていない給与収入の金額および、その他の所得金額の合計が、年20万円を超えている場合。

イベント参加者の様子

副業時に迷いやすい、「事業所得」と「雑所得」の違い

所得の種類は職業や経済活動などによって分類されますが、グレーな部分もあるそう。

「皆さんがよく疑問を持たれるのは、『事業所得』と『雑所得』の違いです。この2つについて、所得の違いに法的な基準はありません。一般的には一定の収入が継続的にあれば『事業所得』で申告するケースが多いようですが、念のため、税務署に確認してから申告することをおすすめします」

なお、「事業所得」は青色申告をすると特別控除を受けられるのでお得ですが、帳簿の作成と保管の義務があります。かたや「雑所得」は記帳の義務はありませんが、計算した金額の根拠となる書類は7年間保管しておいたほうがいいようです。

確定申告の書類は、受理されたあとに税務調査を行う仕組み。そのため、内容に誤りがあれば追徴課税の対象になります。

「税務署はマイナンバーなどをもとに情報収集を行って、厳しく調査をします。副業もその対象になりますので、適正な申告をしないとある日、突然税務署から調査されるなどいうことになりかねません。『確定申告するほど稼いでいないから』という根拠のない理由で申告義務を怠っては身を守ることはできません。また税金を正しく納めないと払い過ぎた分も戻ってこないのです。副業をしている方は、ぜひ確定申告をお願いしたいと思います」

イベント参加者の様子

また、会場からは副業の確定申告について、質問がいくつか寄せられました。たとえば、次のようなもの。

Q:税務署に法定調書の提出をするなどのルールは決まっているのでしょうか?

A:ライターやデザイナーの方が受け取る「支払調書」などが「法定調書」のひとつになりますが、職種によっていくら以上の金額で法定調書が必要となるかは異なります。そして法定調書は企業側から税務署へ提出義務があります。

ちなみに、企業は「支払調書」を税務署へ必ず提出しなくてはいけませんが、企業側から発注先に発行する義務はありません。そのため、企業が「誰にいくら支払ったのか」という記録は税務署に残りますが、発注先は支払調書がないからといって確定申告時に無申告だと、あとでバレてしまいます。

バレないだろうと思うかもしれませんが、企業の方は税務署へ支払調書の提出義務があり「誰にいくら支払ったのか」の記録が残っています。つまり、受け取った側が申告していなくても、支払った側には記録があるので、そこで金額の相違から無申告が発覚します。

税務調査が入ったときには、銀行の入金状況も調べられますので、支払調書をもらっていないからといって確定申告書類に収入金額を記入しないと、申告漏れに該当します。詳しいことは国税庁のウェブサイトに「法定調書」に関するものがありますのでそこで確認してください。

副業を考えるなら、納税に関する理解も必須

佐別当さん

副業と確定申告との関連について、詳しく解説された今回のイベント。主催者であるシェアリングエコノミー協会事務局長の佐別当隆志(さべっとう・たかし)氏は、確定申告の大切さについて次のように語ります。

「副業解禁で間違いなく副業を始める人は増えてくると思います。国としては副業を認めて、新しい雇用につなげようとしています。一方で、『稼ぐ人は増えたけど税金を正しく納める人は増えない』状況は大問題になります。ただ、会社員は毎月の給与所得から自動的に税金が引かれるため、自ら税金を納めるという意識が低いのが現状です。副業を考えるなら確定申告に関する知識も欠かせないので、こうした勉強会を開こうと思いました」

佐別当氏自身も、副業でシェアハウスを運営していることから、確定申告の大変さはよく理解している模様。だからこそ、外注も視野に入れるべきといいます。

「本業×副業で時間が一層なくなるのに、確定申告まで手が回らないと思います。働き過ぎの弊害も出かねないので、労働時間を減らし、限られた時間を効率よく使うことが、副業を続けるポイントかなと思います。そういった意味で、無駄な時間をなくすためにも確定申告はクラウドサービスを活用する方が楽だし、賢い選択ではないでしょうか」

平佐さん

また、企業や個人向けに勉強会を開催しているエフアンドエムの平佐聡典(ひらさ・あきのり)氏から、これから副業を考えている人に、次のようなアドバイスをもらいました。

「まず、理解していただきたいのは、納税は“国民の義務である”ということです。その納税を正しく行うための手段が確定申告。今後、マイナンバーが銀行口座と紐付くようになりますので、無申告者は税務署から狙われることになると思います。せっかく副業で所得が増えても、正しく確定申告ができていなかったばかりに、追徴課税されては意味がありません。『儲けたら納税!』はしっかりと認識しておいていただきたいです」

会社員にとって確定申告はなじみが薄いものです。しかし、副業で一定の収入を得ているならば、確定申告の正しい知識がないことはリスクでもあります。副業でしっかり稼いだら、適正な申告を行うことを必ず心に留めておきましょう。

(末吉陽子+ノオト)