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2016/12/28 up

「記帳代行」と「自計化」の違いは? 税理士との契約を検討する前に理解しよう

text by 松木淳

税理士の安藤さん

税金や確定申告で困ったときに頼るべき存在として、真っ先に「税理士」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、税理士と契約したことがない個人事業主にとって、どのようなサービスを受けられるのかが分からないことが多いでしょう。さらには、契約する税理士によっては提供するサービスや料金が異なることも……。

そこで、個人事業主が所得税や消費税の確定申告で困った場合、税理士と契約する際のキーワードとなる「記帳代行」と「自計化」について、税理士の安藤かずえさんにお聞きしました。

「記帳代行」と「自計化」の違いって?

――個人事業主が税理士と契約した場合、どのようなサービスが受けられるのでしょうか?

税理士のサービスを一言で説明するのは、実は難しいのです。というのも、税理士によって一人ひとり得意分野が異なるからです。

税金といっても「所得税」「法人税」「相続税」というように種類がたくさんあります。さらに、個人事業主の所得税、消費税それぞれの確定申告に必要な業務に絞っても、飲食業や理美容業などの特定の業界を専門にしていたり、資金繰りなどの経営まで踏み込んでアドバイスしたりと、どの税理士と契約するかで受けられるサービスがまったく違います。

――大勢の税理士の中から、自分にあった税理士を選ぶポイントはないのでしょうか?

困っていることをそのまま相談するのが一番ですが、確定申告や税金に関する知識が不足していれば、自分が何に困っているのかを的確に説明できないケースもあると思います。その場合は、「記帳代行」と「自計化」を一つの基準として検討するのも有効ではないでしょうか?

書類を見る安藤さん

――「記帳代行」と「自計化」というのは、それぞれどのようなことなのでしょうか?

記帳代行は、個人事業主が行う事業上で日々発生する領収書や請求書、金融機関口座の通帳などを税理士に渡すことにより、税理士が確定申告に必要な会計帳簿を作成することです。

一方、自計化は個人事業主自身が確定申告に必要な会計帳簿を作成して、その内容が正しいかを税理士がチェックすること。

記帳代行サービスを積極的に提供する税理士もいれば、自計化での契約形態のみ受け付ける税理士も存在します。また、一人の税理士が個人事業主のニーズによって記帳代行と自計化の両方を手がけているケースもあります。私の事務所では約8割のお客さまに記帳代行サービスを提供しています。

税理士からの提案内容を判断するポイント

――記帳代行と自計化について、それぞれのメリットとデメリットを教えてください。

お互いのメリット、デメリットが正反対の関係になっています。従業員に会計帳簿の作成を任せていない前提で説明しますが、税理士が会計帳簿の作成まで対応する記帳代行のほうが、一般的には自計化よりも費用が高くなります。一方、個人事業主の自計化による時間的な負担が大きいのはご想像通りだと思います。記帳代行はその分、本業やプライベートに時間を使うことが可能です。経営状況をリアルタイムに把握したい場合は、もちろん自計化が有利です。記帳代行は税理士が書類を計算するため、どうしてもタイムラグが発生しますので。

――どんなタイプの個人事業主が、記帳代行、自計化それぞれのサービスに向いているかの傾向はありますか?

一概にはいえませんが、開業して間もないなどの本業に集中すべき時期や、事業が順調でだんだん多忙になっている場合は、記帳代行を選択すべきですね。比較的時間に余裕があり、細かい作業もコツコツ行うことが苦にならない場合は、自計化を選択するのもアリかもしれません。

また、それぞれの中間を取ったサービスも存在します。たとえば、売り上げや仕入れは事業主自身が会計ソフトに入力して、販管費などの必要経費のレシート、領収書だけを記帳代行するケースや、個人事業主が書類を勘定科目ごとに分類して、その分類通りに税理士が帳簿付けをすることもあります。もちろん、それぞれのパターンで税理士へ支払う費用も変わります。

笑顔の安藤さん
――受けるサービスのパターンは、どのように決めれば良いのでしょうか?

個人事業主の人数と同じだけ、会計上の悩みは存在します。ですから、事業内容や規模、個人事業主自身の考え方によって最適なサービスも異なってきます。税理士の提供するサービスは決して一律ではありません。しっかりとしたヒアリングと、それに基づいた提案がある税理士を選ぶことが重要です。その際、今回説明した記帳代行と自計化の違いを知っていることで、税理士からの提案内容をより、把握しやすくなると思います。

(松木淳+ノオト)

取材協力

安藤さんのプロフィール写真

安藤かずえさん

税理士。F&Mパートナーズ税理士法人 東京事務所 代表。1996年に税理士事務所を開業後、2003年にF&Mパートナーズ税理士法人を設立する。講師を務める各種セミナーは常に好評を博し、その実績から、金融機関やハウスメーカーなどより数多くの講演依頼がある。専門性の高さから、上場企業より助言、指導を求められる機会も多い。
▼F&Mパートナーズ税理士法人 東京事務所
http://www.fmpt.jp/

この記事の筆者

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松木淳

株式会社エフアンドエム所属 「マルナゲ」の名付け親。営業部門マネージャー、商品企画、新規市場開拓などを経て、会計サービス「マルナゲ」のマーケティングを担当、現在に至る。

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