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2018/02/28 up

開業7年で単価10倍に! おうちサロン経営者・赤井理香さんが語る成功の秘訣

text by 末吉陽子

赤井さん

撮影=小野奈那子

ネイルやエステ、心理カウンセリングなどの業態で耳にする「おうちサロン」。自宅の一部を使って開業するため、ほかで店舗を構えるよりも開業のハードルは低いといえます。

今回お話を伺ったのは、『バイキング』(フジテレビ)など、テレビでたびたび取り上げられたことのある「ペールグリーン」。サロンは千葉県の郊外にあるマイナー駅から、さらに30分に1本のバスに乗車してたどり着く場所にあるものの、開業以来7年間で、およそ5000人以上がカウンセリングを受け、現在も3カ月先まで予約が埋まっているそう。

商売に向いているとは思えない立地で、なぜおうちサロンを開業することにしたのか、気になる稼ぎのことなど、詳しく教えてもらいました。

悩みの本質を捉え、頭の中を整理していく

――まず、赤井さんのお仕事について教えてください。

私の仕事は「相談業」という種類にあたり、いわゆるカウンセリングです。恋愛相談や子育て、家族とのしがらみなど、さまざまな悩みを抱えている方がいらっしゃいますが、悩みの本質を捉えて、潜在意識と顕在意識をすりあわせて整理していくのが仕事です。

――潜在意識と顕在意識をすりあわせる、とは……?

人間の脳は「潜在意識」と「顕在意識」に分かれていて、潜在意識に働きかけることで、それが顕在化してさまざまな力を発揮できるとされています。

もともと私は大学卒業後に幼稚園教諭や保育士として働いていたのですが、その後「七田チャイルドアカデミー」という能力開発教室の講師になりました。そこで、こうした考え方を学び、子どもの持っている力を引き出すノウハウを教えていました。次第にもっと深く知りたいとの想いが強くなり、独学で脳や心について学びはじめました。それらのノウハウをいろんな人に知ってもらいたいと思い、独立することにしました。

赤井さん

1回で悩みが解決するよう、プランを1本に絞る

――ペールグリーンがあるのは、お世辞にも利便性がいいとはいえない場所です。いろいろなカウンセリングルームがある中で、なぜ赤井さんのおうちサロンが選ばれていると思われますか?

まず、ビシバシとアドバイスをもらいたい人は、私のところは選ばないと思います。というのも、私は自分のウェブサイトを淡いピンクに統一していたり、書籍も柔らかい文章にしていたりして、温かさが伝わるようにしているんです。

以前お客さまから、「どこのカウンセリングルームに行こうか調べていたけど、ここはいきなり怒鳴られることはないだろうと思ってきましたとおっしゃっていただいたことがあります。顔であるウェブサイトでしっかりと特徴を打ち出していることで、私が目指しているカウンセリングのかたちにマッチする方に響いているのかなと思います。

あとは、リピーターとご紹介がほとんどなのですが、「友だちに『スッキリするから行っておいで』と言われて、よくわからないけど来ました」とおっしゃる方も多いです。

書籍など

――具体的には、どのようにカウンセリングを進めているのでしょうか?

「本当はこうありたいのに何かうまくいかない」という、理想と現実のギャップやお客さまの本当の気持ちを探り当てて、より理想とする状態になるための心のあり方や「これからどうすればいいのか」までを2時間半で導き出すようにしています。

たとえば、「彼氏がほしいけどできない」と悩んでいる方がいたとして、会話や反応を見ながら原因になっていることを探っていきます。そのなかで、実は子どもの頃、母親に「学校でいじめられている」と話すと優しく慰めてくれるのに、テストでいい点をとると「足元すくわれるよ」と不安になることを言われていたとします。

そうしたエピソードから、その方は「自分は少し不幸なくらいがちょうどいい」「不幸な方が母親に愛される」と、子どもの頃から潜在意識に刷り込まれていて、行動を左右していることにつながっているという仮説が立ちます。

そこで、相手に尽くして報われないことが多かったけど、これからは自分を大事にしていきたいと、当初気づかなかった「なりたい自分の姿」を見つけてもらって、そのためにはどのように行動を変えていけばいいのかというアドバイスをしていきます。

――悩みの根源的な原因を見つけて、解決に向けたアドバイスまでを2時間半で完結させているのですね。

生きづらさの原因が分かったけど、続きは次回ってなると悶々としますよね。「じゃあどうすればいいの?」って。以前は、もうちょっと短い時間で、安い額で実施していたんですけど、経験を積むにつれて1回でスッキリしてほしいと思って、2時間半のプラン一本にしぼって、絶対に結果を出すって決めました。

赤井さん

予想を超える結果を出すことで、リピートにつなげる

――ただ、一回で解決したらリピートしないような気もするのですが。

たとえば、親からあんまり認めてもらえなかったり、結果を出せなかったりする過去がある人は、本当の自分の欲求とか能力に対して「私はこの程度の幸せで十分」と、自分が手に入れられる幸せを低く見積もっています。それが、一回のカウンセリングで思考パターンが変化すると、現実面で変化があるんです。

そうすると、「以前は会社の人間関係の悩みでカウンセリングしてもらって、すごく好転したから、今度は子どもとの悩みについて相談に乗ってほしい」というように、別のテーマでいらっしゃるんです。なので、リピーターの方は当初の相談について、「何で悩んでいたんだろう」と忘れてしまっているケースがほとんどですね。

――きちんと結果を出せているから、次につながる、と。

一つの悩みが解決すると、より良くなりたいと欲が出るもの。ビフォア・アフターの差が大きければ大きいほど、またここに来ようって思ってくださるんです。遠方から通ってくださるお客さまも多くて、北海道から沖縄、一番遠いのはドバイを拠点に生活している方が日本に帰省されたときに、自分へのご褒美にと来てくださいました。
赤井さん
――カウンセリングを行う際、気をつけていることはありますか?

押し付けるような言い方はしないように心掛けています。「こうあるべきです」「それは間違っています」と言わずに、「こうした方がいいかもしれませんね」と投げかけることを大切にしています。

――それには、なにか理由がありますか?

なぜそうしているかというと、依存を作らないため。よく陥りがちなのが、「カウンセラーのアドバイスなしでは生きられない」となってしまうこと。特に、悩んでいるときには、藁にもすがりたくなるものです。そうしたときにカウンセラーが行動を決定してしまうと、その先も依存せずにはいられなくなります。人生の責任を持つことができるのはいつでも自分自身だけ。依存関係はお互いにとってプラスではないので、私は本人の自主性を尊重するというスタンスを貫いています。

――赤井さんの考えるカウンセリングに理解のあるお客さまに対象を絞ることも大切になってきそうですね。

基本的には本人に目の前の課題を解決しようという意思があって、それを私がフォローするという立場であることを理解してくださる方にお越しいただくように工夫をしています。そのため、私のサロンではお問い合わせフォームからしかコンタクトが取れないようにしています。詳しい住所も予約が成立した時点でしかお伝えしません。問い合わせのメールのやり取りを通して、ちょっと力になれないなと思うときは、お断りしています。

書籍

需要と供給のバランスを見極めてカウンセリング費用を決定

――こうしたカウンセリングを行うにあたり、自宅で開業する「おうちサロン」を選ばれたのは、どんな理由からですか?

単純にコストを抑えたいからです。独立当初は、自分がどこまで通用するかわかりませんでしたし、いまのように2時間半で一律3万円の価格設定で、3カ月先まで予約で埋まっているわけではありませんでした。その状態で、たとえば駅近にサロンを借りて、お金を投入したとしたら、お客さまから回収しないといけないですよね。実力が伴ってないうちから高い額で設定するのには抵抗があり、だったら初期投資ゼロで済む自宅で開業しようと。

――単価の3万円はどのように決められたのでしょうか?

単価については、開業してから4段階くらいに分けて上げていきました。なので、最初の頃とは桁が違います(笑)。

――それは何を基準に決められたのでしょうか?

結果を出せる度合いや、お客さまの満足度ですね。最初は自信も経験もないので、どれくらいの人が来てくれるかもわかりませんでした。それからしばらくしてクチコミで広がっていき、3カ月先まで埋まるようになりました。

その頃は、休みなく、あくせく働いてようやく私一人が生活できるくらいの稼ぎでしたが、徐々にキャパシティを超えてきたなと感じるように。そこで、お客さまが減ってもいいから、もっと一人ひとりにじっくり向き合いたいと考えて、需要と供給を考えて額をあげていきました。

赤井さん

ときには値上げも必要。自分の価値を上げる自己研鑽は欠かせない

――そうすると、疎遠になってしまう方もいますよね。その辺りの不安はありませんでしたか?

それはありました。1年以内に廃業するカウンセラーが8割という厳しい世界ですし、実際に単価を3万円まで上げたときは、お客さまが半分ほど減りました。でも、半分は額を上げてもリピートしてくれています。

紹介や新規も増えて、いまでも3カ月先まで予約が埋まっています。需要と供給のバランスがあって、需要に傾いているのは、満足いく結果を出せている証拠だと思います。そこが見合っていないときは、疲れや不調などで身体からメッセージを発してくるので、今までそのタイミングで額を上げてきました。

――実力に見合う対価を自分でしっかりと見積もるのは、個人事業主として大事なことですね。

そうですね。さらに大切なことは、価値をあげるための自己研鑽です。私はいまでも心と脳の勉強は欠かしません。自分が学んでいて楽しいのも大きいですが、10万円以上するセミナーにも躊躇せずに通いますし、毎月の書籍代にもかなりの費用を投じています。

それは、お客さまに満足してもらいたい、こうなってもらいたいという目的があるから。仕事が本当に好きじゃないと自己研鑽に励むモチベーションも上がらないと思います。

――赤井さんは広告も看板も出されていませんよね。クチコミだけで人気のサロンということで、テレビ番組でも度々取り上げられていますが、その時の反響は大きいのでは?

特に『バイキング』(フジテレビ)が特集してくださったときは、たくさんの方から問い合わせがありました。ただ、「テレビに出ていたから」という理由で選ばれた方も多いのです。一時的に溢れるお客様を受けてさらに予約が取れなくなると、古くからのお客さまが離れてしまいます。結果的に、やはり、以前からご自身の意思でこのサロンを選択して下さったお客さまが、長くリピートしてくださるんです。

仕事の本質を考えると、ひょんなきっかけで一時流行って、それにあぐらをかいてしまうと寿命が短くなると思うんです。人間関係でつながっている人をいかに大事にし続けられるかが、細く長くやっていくために必要かなって思います。

赤井さん

――では、最後に今後の目標について教えてください。

私としては、いまの仕事スタイルに満足しています。ただ、対面でのカウンセリングは数も限られますし、物理的な距離のせいでお越しいただけない方もいます。なので、目下3冊目を執筆中ではありますが、これからは書籍の執筆に力を入れていくつもりです。書籍にまとめることで、直接お会いできない方の悩みにも寄り添っていけたらと思っています。

(取材・文:末吉陽子 編集:南澤悠佳/ノオト)

取材協力

赤井さん

赤井理香さん

2010年、「おうちサロン・ペールグリーン」を開業。これまでの7年間で、5000人以上の顧客が、カウンセリングや各種講座を受講するために訪れる。クチコミがクチコミを呼び、いまでは常に3ヶ月待ちの状態。約20年間幼児教育に携わった経験をもとに、各種媒体でコラムも執筆している。個人・団体の依頼を受けて各地で開催する、女性起業、自己実現などをテーマとした講演が好評を博し、講演依頼が引きも切らない。
https://akairika.jp/

この記事の筆者

末吉陽子

編集者・ライター。1985年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒。コラムやインタビュー記事の執筆を中心に活動。ジャンルは、社会問題から恋愛、住宅からガイドブックまで多岐にわたる。
▼公式サイト
http://yokosueyoshi.jimdo.com/

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