> マルナゲとは?

2017/12/08 up

「紀元前からある仕事だから滅びないだろう」―真木あかりさんが考える占い師の働き方

text by 南澤悠佳/ノオト

真木あかりさん

仕事やプライベートなどで選択に迷いが生まれたとき、占いに背中を押された。そんな経験のある人もいるのではないでしょうか。

占いというと、テレビや雑誌で見かける占いはもちろん、占い師が路上や店舗で占う姿が一般的でしょう。ただ最近では、自分のスキルを売り買いするネットサービスなどで、 占いを副業にする人も。

占い師の働き方は今、どのように多様化しているのでしょうか。約10年、占い師として活躍し、メディアでの連載や著作をもつ真木あかりさんに、その働き方と稼ぎ方について聞いてみました。

一つの占いの基礎を身につけるなら、月100時間×3年が目安

――あかりさんは何をきっかけに占いを始めたのでしょうか?

フリーライターとして働いていたのですが、この仕事はある程度の年齢になると専門性を持つことが重要になります。なんでも屋だと先細りなんですね。実は、そう考える数年前から、フリーランス活動と並行しながら、制作会社で会社員として心理ゲームや占いコンテンツを作っていました。占いは紀元前からある仕事なのに、21世紀の今でも需要がある。コンテンツとして滅びないのでは? と思い、占いの道を考え始めました。

ちょうどそのタイミングで、有名な占いの先生のお仕事をお手伝いすることになり、先生のお声がけで師事する流れになりました。講座に通って手ほどきしていただくかたちで、先生からいただいたお金がまた先生に……(笑)

――お金の循環ですね(笑)。講座はどのくらい通われたのでしょう?

四柱推命の講座は、1回約3時間の講座が月2回。それに4年間通っていました。トータルで60万円ほどかかっていますね。

講座で四柱推命の基礎を学び、宿題も多くいただきました。宿題は著名人の運命鑑定が中心。なぜかというと、そういう方たちはプロフィールや活躍の時期が公開されていますよね。なので、この時期はこういう星回りのときにこういう活動をしているんだねと、運命を読み解く勉強になります。それを毎回10人ほど行っていましたね。
真木あかりさん
――ほかに、占い師になるためにどんな投資をしましたか?

独学のため、書籍はこの10年で300冊は購入していますね。総額30~50万円ほどはかかっていると思います。占いの基礎を学ぶためであったり、その時の占いの流行りを知るためであったり。コツコツ購入しています。必要性を感じたので通信制大学の心理学部にも編入しました。2年間で教科書なども含め、トータル70万円ほどかと。

ほかは、自分がどういう占いをするかによって必要なものが異なります。たとえば、私の場合はタロットカードが1セットで2,000~4,000円、これをいくつか持っています。四柱推命や12星座占いなどに必要な万年暦にそれぞれ1万円、個人宅鑑定用に方位磁石が1,000円くらいでしょうか。あとはPCがあればできます。

――占い師は、みなさん複数の占いを行うのでしょうか?

人それぞれにはなりますね。1種類の方もいれば、2~3種類できる方も多いようです。私の場合は、鑑定内容によって7種類を使い分けています。

――7種類も!?

運命を読むときは四柱推命、人の気持ちを知りたいときはタロット、ウェブの連載などでは12星座、引っ越しや方位の場合は九星気学(きゅうせいきがく)といったように、要望や悩みに応じて占い方を変えています。そのほか、手相や顔相、風水で占うこともありますよ。

真木あかりさん

――それぞれ、習得にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

私の恩師は、「占いは一生勉強」と言っていました。私の場合は、基礎を習得するまで毎日2時間、週末に5~6時間と、月に約100時間近く。それを続けて3年ほどで “読める”ようになってきたと思います。

ここでいう“読める”とは……たとえばタロットカードなら、「再生」を意味するカードが出たとしますよね。そのとき、目の前の人の悩みに対してどう解釈するか、そのストーリーをどう立てられるか、きちんとアウトプットできるかどうか、です。

――なるほど、カードそのものに絶対的な答えがあるのではなく、目の前にいる人としっかり向き合えるようになるには、それなりの時間が必要というわけですね。相手の悩みに合わせて占い方法を変えるとはいえ、あかりさんはなぜそんなに多くの種類を手がけようと思ったのでしょうか?

仕事の幅が広がるからです。私は制作会社で占いコンテンツを作っていましたが、広告代理店や出版社の方ともやりとりがありました。そうすると、どういった占いに需要があり、コンテンツとして起用されやすいかがわかってきます。

雑誌やウェブのコンテンツでは、12星座占いが多いですよね。これは、四柱推命のようにその人の生年月日を必要としないので、コンテンツとして作りやすいから。こうした状況を考慮し、占い師として鑑定するだけでなく、求められやすいスキルを設計していきました。

真木あかりさん

技術の発展により、占い師が活躍できる場は増えている

――占い師の働く場所についても伺いたいですが。

以前は占いの館や路上のように対面が主流でしたが、インターネットの普及とスマホが行き渡ったことで、オンライン占いの勢いが強いですね。大まかに挙げると、次の10パターンです。

  1. 対面占い…… 店舗(サロン)を持つほか、館やプロダクションに登録、路上、カフェや貸しスペースを利用
  2. オンライン占い……電話やメール、チャット占いなど。
  3. コンテンツ提供……本の執筆や監修のほか、ウェブや雑誌、企業のプロモ―ショーンツールとして、占い記事の提供や監修など
  4. 個人のブレーン的存在となる……会社の経営者などから定期的に相談を受ける
  5. イベントや講演会に出る……企業のイベントや占いフェスなどに参加
  6. タレントとして稼ぐ……芸能人のゲッターズ飯田さんや島田秀平さんのような立ち位置で活躍する
  7. 占いの研究者となる……占いの理論をまとめて書籍にするなど
  8. スクールやプロダクションの運営……スクールを開講し、弟子などを育てる
  9. 占い事業のコンサルティング……占い事業を行いたい企業向けのコンサルティング
  10. 開運グッズやツアーの販売……パワーストーンやジュエリーなどのプロデュース、販売など

私は上記でいえば、2、3、4、9を手がけています。どんな仕事でもそうですが、収入のラインを1本あるいは1社に依存すると、そこが衰退したときに痛手が大きくなります。占いの場合も、複数の太いラインを持つことで安定すると考え、手を広げてきました。

ちなみに、今一番伸びていると感じるのはオンライン占いです。「すぐに相談にのってほしい」という需要に応えやすいですから。特に電話やチャットは、占い師ができるだけ毎日待機時間を長く取れば取れるほど、収入増が期待できます。

占い

――単刀直入に、占い師はどれくらい稼げるものなのでしょう?

電話占いだけで、月100万円を売り上げる人もいます。でもこれは、先ほども申し上げたように、毎日長時間待機できるのが条件です。一例を挙げると、夜22時から翌朝5時までというように。あとはお礼メールを送るなどのアフターフォローも欠かせないので、片手間ではできませんね。

収入でいえば、月20万円から30万円がボリュームゾーンになると思います。これは占いの技術があってリピーターが付いた状態で、少し頑張れば達成できると思います。

――あかりさんの場合は、どういった収入バランスですか?

私は占い師としての収入を10とした場合、4割が個人鑑定、6割が連載や本の出版(2017年は2冊)です。

個人鑑定で私が承っているのはメール占いのみですが、一般的な相場はメール1往復で3,000円から5,000円。それに対して私は7,000円をいただいています。そのかわり、1通のメールに文字数制限は設けず、いくつも相談したいことを書いてもいいようにしていますし、返信の文字数も一般的なメール鑑定より多めです。お一人おひとりを丁寧に鑑定したいのと、ほかの占いの仕事とのバランスで、1日に受け付ける人数は数人までとさせていただいています。

とはいえ、これは占い師としては少ない人数のようです。周囲の話を聞くと、月に300人くらい見ている方が多い印象を受けました。

占い師として収入を得ていくために欠かせないこと

――あかりさんは、占い師としての仕事は何を糸口にしたのでしょうか?

コンテンツ制作でお付き合いのあった会社様に、積極的に提案を行いました。「占いはこんなことができます、ユーザーさんの役に立てます」といった感じですね。会う人会う人にお話していたら、ありがたいことにぽつぽつとお任せいただけるようになって。既存顧客の掘り起こしですね(笑)。

実は、占い師は出版社出身の人が少なくないんです。もともと人やコンテンツ提供場所とのつながりがあるので、そうしたところから始めていくことができますから。もしそうしたつながりがなくても、今ならスキルの売買サービスなどでも出品できますよね。小さく始めて実績を積んでファンを増やし、それで仕事の幅を広げることができると思います。

――まずは、これまでのつながりを生かしていくのですね。

ただ、口コミだけだと限界があります。より活躍の場を増やすなら、ブログやTwitterで積極的に情報を発信することが大切でしょう。発信した内容に信頼を寄せてくれる人がいれば、困ったときに頼ってみようと思う方も多いのではないでしょうか。私のブログは1カ月50万PVですが、個人鑑定の依頼はブログ経由が一番多いですね。

サイト

――占いの需要に波はありますか?

占いは種類によって流行り廃りはありますが、それでも占い自体に対する需要のアップダウンは大きくありません。

9月から翌1月までが一番忙しく、まとめると以下のような状況です。

  • 9月~10月頃…翌年の運勢(紙媒体)
  • 10月~11月頃…翌年の運勢(ウェブ媒体)
  • 12月~1月…個人さまからの依頼
  • 3月…新年度に向けた個人さまからの占い、広告・キャンペーン連動企画
  • 5月…下半期占い、媒体問わず

改めて整理すると、1年の半分は繁忙期ですね(苦笑)。

占いはあくまで決断のお手伝いだから、自分の道は自分で選ぶ

――あかりさんは、今後占い師としてどう働きたいと考えていますか?

占い師はいろんな人の悩みを聞きます。だけど、相手の力になりたいという気持ちだけでは続きません。いろんな人と向き合うには自分の心身をケアし健やかに保つ必要があって、それを実現しうる十分な収入を得られるかをどう設計するかを考えるのが、実は占い師としての大事な仕事のひとつと考えています。だからこそ、安売りをしないことが大切。それに、「貧すれば鈍する」の状態の占い師に占ってもらいたくないですよね(笑)。

私の鑑定では、「~しなさい」とは言いません。それは、占いはあくまでその人の人生をより良くするためのツールだから。当たる・当たらないという付き合い方よりも、自分の決断のヒントとして捉えていただいています。自分の人生を切り開くのは自分。こういう傾向があるからこの道を選ぼうというように、自分の道は自分で選んだ方が、その人自身も納得ができる。私はその手助けができればと思っています。

(取材・文:南澤悠佳/ノオト)

取材協力

真木あかりさん

真木あかりさん

四柱推命を中心に、12星座占いや九星気学、タロット、風水、数秘術などで鑑定を行う。TwitterID:@makiakari 

占い師・真木あかりのブログ
http://makiakari.hatenablog.com/

 

この記事の筆者

南澤悠佳/ノオト

有限会社ノオト所属の編集者、ライター。得意分野はマネー、経済。ママ向けや不動産、会計など、企業のオウンドメディアを中心に担当する。

Twitter ID:@haruharuka__

ほかの記事を検索する

関連ワード