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2017/08/25 up

パーソナルアシスタントの仕事内容は? 小林菜穂美さんに聞いた新境地の切り開き方

text by 末吉陽子

小林さん

撮影=藤原葉子

縁の下の力持ちとして上司を支える役割を担う「秘書」。上司が働きやすい環境を整えるべく、スケジュール管理や来客の対応など総務のスペシャリストとして、さまざまなことに気を配ります。秘書と聞くと会社に属しているイメージですが、フリーランスの秘書をなりわいにしている人もいます。

小規模事業や個人事業主をクライアントに持つ秘書“パーソナルアシスタント”として活躍しているのが小林菜穂美さん。まだ、なじみのないパーソナルアシスタントという職業の新境地を開拓する小林さんのジョブスタイルを聞きました。

人をもてなす仕事から、人をサポートする仕事へキャリアチェンジ

――小林さんはパーソナルアシスタントとして、女性起業家をメインに秘書業務を請け負っていらっしゃいます。独立されるまでは、どんなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

短大時代にファッションの販売アルバイトをしていて接客の楽しさに目覚め、アパレル系の会社に就職しました。仕事を通して、“ホスピタリティ”や“おもてなし”を提供できる仕事に携わりたいと、派遣社員として某レジデンスで、コンシェルジュとして管理・受付業務を担当。その後、レンタルオフィスを運営している外資系の会社で、レセプショニスト(受付係)として働きました。基本的には利用者の方の要望に応えるように動くことが業務。仕事はハードでしたが、楽しくもあって頑張っていたら、3年ほどで社内最年少のセンターマネージャーと呼ばれる責任者に昇格しました。

――そうしたキャリアの中、なぜパーソナルアシスタントに転向されることになったのでしょうか?

10年ほどキャリアを積んできたので、そろそろ何か資格を取りたいなと、スクール情報誌を読んでいたら、ベビーマッサージ(親子のスキンシップ法の一つ)のセラピストという資格の存在を知ったんです。興味を持って仕事と同時並行で養成講座を受けました。その経験から、働くママをサポートする仕事の重要性を感じて、女性起業家をサポートする仕事がしたいと、“フリーランスの秘書”を思いついたんです。

当時、調べたかぎりでは、フリーランスの秘書として働いている人はいないようでしたが、ニーズの存在を確信したので、自分で開拓するつもりで独立を決意しました。

小林さん

初めてのクライアントはベビーマッサージ養成講座の先生

――それからどのように顧客開拓をしていったのでしょうか?

実は、私がベビーマッサージを習った先生が最初のクライアントさんなんです。先生に「個人で秘書をしてみたいと思っているんです」と話してみたところ、「ぜひやってほしい!」と言われたんです。ちなみに、それから5年経つ今でも先生は大切なクライアントです。

幸いなことに、ベビーマッサージの仕事で女性起業家の方と出会うきっかけも多く、その中にはクライアントになってくださる方も。ブログやFacebookをスタートして、口コミが広まり問い合わせをいただいたり、クライアントのイベントに一緒に同行したときにご紹介いただいたりとご縁が広がっていきました。

――クライアントはどのような方が多いのですか?

年齢的には40代くらいの方が大半です。職種はさまざまですが、執筆業を専門にされている方や協会を立ち上げて理事長になっている方などもいらっしゃいます。1人で仕事を回している方から、10人くらいのメンバーを束ねている方もいます。皆さん忙しい方ばかりなので、スケジュール管理から資料の作成、会議の出席からクライアントの顧客とのやりとりまで、多岐にわたる業務をサポートさせていただいています。

――通常、何名のクライアントを担当されていますか?

現在、5名のクライアントのパーソナルアシスタントを務めています。依頼される業務量は人によって異なり、1カ月に1回のお手伝いを希望される方や、毎日メールのやりとりが発生する方もいらっしゃいます。担当するクライアントの人数だけで、仕事量を測れないところがこの仕事の難しさでもありますね。

小林さん

秘書は会社の顔、洋服や小物にも気を配る

――秘書のお仕事は、気配りも欠かせないですよね。たとえば、どのようなことに気を遣っていらっしゃいますか?

業務効率と相手の状況を察することには、人一倍気を付けていると思います。たとえば、多忙なクライアントにはメッセンジャーアプリを使って、「この案件についてOKだったらニッコリマーク、NGだった泣き顔マークをつけてください」というように、なるべく手間がかからないように工夫するようにしています。

また、基本的なことではありますが、洋服に関していえば、取引先に行くときはしっかりとしたジャケットを着ようとか、クライアントが主催するカジュアルなセミナーに参加するときは自然に溶け込むものにしようとか、勝負のミーティングではやる気が出るような赤やオレンジを着て行こうとか、そういう意識を持つようにしていますね。

あとは、お金をかけるべきところはかけます。秘書として外へ出ることが多いですから、そこでの見た目はもとより、名刺入れや小物も大事。細かなものでいえば、消せるペン「フリクションボールペン」も、メタリックで高級感がある質感のものを選んでいますね。

――そうした細やかな配慮はクライアントからも信頼されそうですね。

クライアントの相手先の会社とは、お会いしない状況でやり取りすることがよくありますが、会議の際に、相手先の会社の方から「『対応が素晴らしい秘書さんですね』と言われましたよ」とクライアントさんが伝えてくださったことは、とてもうれしかったです。会社の顔とまではいかないにしても、会社の窓口として対応させてもらっているので、お役に立てて良かったなと思いますね。

パーソナルアシスタントの仕事を多くの人に伝えたい! 後進を育成するべく養成講座を開講

――では、前職のレセプショニストと比較して、収入面ではどのように変化しましたか?

以前は一般的な女性会社員より少し上くらいの年収でしたが、パーソナルアシスタントとして独立してから、収入は1.5倍から2倍に増えました。金額についても、最低料金を作っているわけではありません。契約する際は月額料金を決めさせていただき、追加で資料を作ったり、会議に出席したりと業務の発生に応じて上乗せしてご請求しています。平均すると約5万円くらいからになります。

また、パーソナルアシスタントの養成講座も開催しており、全国30名ほどの受講者がいますが、その数によっても多少収入が変わります。この養成講座を始めたのが2014年。マンツーマンなので関西で教えるときは私が現地に行くことになります。全国に講師がいるといいなと考えているのが、ちょうど今のタイミングですね。

小林さん

人からモノ・コトのサポートへ、頑張っていれば仕事の領域は自然と広がる

――今後、どのようなお仕事に挑戦されたいですか?

当初は育児・介護との両立のためにパーソナルアシスタント講座を受講される方の割合が多かったのですが、最近では自分のキャリアのステップアップとして将来を見据えた上で独立を目指す方が増えてきています。海外ではパーソナルアシスタントの仕事は一般的でもあるからか、最近は欧米を中心に海外からの業務お問い合わせがあります。また、並行して英語力を活かしてパーソナルアシスタントになりたいという方も増えていますね。

これからも、さまざまな要望をお持ちの方々のお役に立てるよう努めていくとともに、育成したパーソナルアシスタントや仕事仲間からいい刺激をもらいながら、経験と知識をさらに深めていきたいと思っています。

――では、最後に個人事業主として働く人へのメッセージをお願いします。

自分で何かをやりたいと思って始めたときの初心を忘れないことですね。最初の頃から時間が経ってくると、行き詰って「これでいいのかな」と迷いが出てくると思うんです。そのときに、当初の動機を思い出せるといいですよね。もしかしたら違う道があるかもしれないって思うかもしれませんが、いずれにしても初心を持ちつづけることが、自分の道しるべになるはずなので、大切にしてほしいです。

(取材・文:末吉陽子 編集:ノオト)

取材協力

小林さん

小林菜穂美さん

レンタルオフィス運営会社で、日本人初の【アジア・オセアニア地区 年間優秀スタッフ】に選出。同時期、社内最年少で支店のマネージャーに昇格。10年に及ぶコンシェルジュ業務経験を活かし、小企業・経営者向け秘書マネジメント業務をスタート。全国で養成講座も実施している。http://assistia.jp

この記事の筆者

末吉陽子

編集者・ライター。1985年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒。コラムやインタビュー記事の執筆を中心に活動。ジャンルは、社会問題から恋愛、住宅からガイドブックまで多岐にわたる。
▼公式サイト
http://yokosueyoshi.jimdo.com/

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