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2016/08/12 up

フリーランスウエディングプランナーのお仕事&マネー事情は?

text by 末吉陽子

祝福を受ける新郎新婦

写真提供/たもつゆか

夫婦として迎える新たな門出を大切な人たちに祝福してもらう結婚式。短時間のセレモニーながら、新郎新婦はもちろんゲストの心にも残る貴重なひとときです。そんな人生において最も大きなライフイベントの成功に欠かせない職業が、ウエディングプランナー。結婚式にまつわる、さまざまなノウハウとプロデュース力を持ち合わせているプロフェッショナルです。

通常、ウエディングプランナーは式場やホテルに所属していますが、個人で仕事を受注するフリーランスのウエディングプランナーもいます。ビーチやガーデンといったアウトドアウエディングを得意とし、ネットを中心にカップルから厚い支持を得ているたもつゆかさんに、仕事に掛ける想いそしてマネー事情について聞きました。

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人生で最も大事な場面をサポートしたい

――ウエディングプランナーを目指されたのはなぜでしょうか?

会社員時代に友人の結婚式の二次会を手伝う機会があって、イベントを手掛ける楽しさを知りました。また、同時期に“女性は手に職をつけることが大事”という風潮が広がっていて、資格系の情報誌でウエディングプランナー養成学校の存在を知りました。「これは私に合っているかも」と思い、間もなく平日も開校している短期コースを受講することに。それから、縁あってイベントプロデュース会社にアルバイトで働くことになり、長く勤めた会社を退社し、ウエディングプランナーとしてのキャリアをスタートすることにしました。

――フリーとして独立しようと思われたきっかけについて教えてください。

入社したイベントプロデュース会社では、ゼロから結婚式のプランを作り上げていくのが主で、さまざまなノウハウを蓄えることができました。ただ、経験を積む中で、私はお客さまとの距離が近く、一組一組じっくりサポートしたいと望むようになりました。とはいえ、会社員として働いている以上、売上を出さなければいけないし、さらにキャリアを重ねると管理職としての役割も求められるようになったため、本来やりたいことからどんどんかけ離れていっているなという思いが強くなってきました。そこで、ウエディングプランナー歴7年目の2012年に、自分が理想とする働き方を追求するために独立を決意しました。

――フリーになると決められてから、どのようなことをされましたか?

フリーとして駆け出しの1年間は、前職のイベントプロデュース会社から業務委託を受けつつ、自分のサイトを持っていたので、そこからの依頼に対応していました。あとは、ほかのフリープランナーの方の結婚式を見学に行くなどして、自分のスキルを上げながら、式場やレストランなど、各方面に営業をかけましたね。

仕事につながることなら何でもしようと思って、結婚を検討している段階から狙おうと街コンに参加することもありました。参加者として飲みながら、「私はフリーのウエディングプランナーなので、皆さん、結婚されるときはよろしくお願いします」とお伝えしていました(笑)。すぐに仕事には結びつかなかったのですが、なんとつい先日その街コンで知り合った方から、依頼が来たんです。ちなみに、お相手はその街コンで出会った方ではなかったのですが……。

――すごい行動力ですね!  ちなみに、現在はどのような方法で営業活動をされていますか?

ウェブやSNSに今まで手掛けた事例の写真を載せているので、見ていただいた方からご連絡をいただいています。今は、ある意味受け身の営業スタイルかもしれません。また、私は特に野外ウエディングが得意だということを前面に出しているので、自然の中でウエディングパーティをしたいという方たちから、たくさんお問い合わせをいただいています。これまで使用させていただいた会場から送客してもらうこともあります。

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なぜ結婚式をするのか、根本からしっかり伝えることから始める

――具体的にお仕事の進め方を教えていただけますか

お問い合わせいただいた新郎新婦さまとカフェなどでお会いして、いろいろご提案をするところから始まります。私の場合は、お会いした当日にご契約いただくということはなく、必ず一度お持ち帰り頂いて、「再度お二人やご両親ともしっかり相談をしてからお決めください」とお伝えしています。大体お会いした方のうち、半分ぐらいの方にご契約いただいていています。

――契約後から結婚式当日までは、どのような仕事内容になるのでしょうか?

ほとんどのお客さまが、具体的には何も決まっていないので、まず結婚式はどういうものなのかをお伝えしながら、お二人からじっくりお話を伺うことから始めます。正式にお申し込みいただいてからは、カウンセリングシートをお渡しして「最近うれしかったことは何ですか」とか、「普段お二人のなかで約束事はありますか」など、結婚式にあまり関係なさそうなこともご記入いただいて、そこから一つひとつ話をしながら進めていき、プランを練り上げていきます。最初は何をどうしていいか分からないとおっしゃっていた方も、それなりにこだわってらっしゃることが見えてきて、それを結婚式という場でどのようなかたちに昇華できるかを考えて、演出やアイテムなどをご提案します。

あとは、アイテムのデザインも一緒に考えますし、招待状などもデザイナーさんと打合せしながら一から作ります。お花やペーパーアイテムもその都度お客さまに合わせて作っていただいたり、ドレスの試着に同行させていただいたりもします。“決まった仕事”という枠を設けずに、親身になりたいという気持ちを行動で示すようにしていますね。

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「1組一律30万円、月2組限定」に決めたワケとは?

――もはやカウンセラーの域ですね! ただ、カップルごとにそこまで丁寧に接客されると、効率の良さとはかけ離れてしまう気がするのですが、実際のところ収入面は厳しいのでは……?

プロデュース料は1組あたり一律30万円でお受けしておりまして、契約は月ごとに2組まで。価格に関してはフリーウエディングプランナーのプロデュース料の相場に沿って、組数に関しては自分が納得いく仕事ができるギリギリの数を考えて決めました。結果的には、会社に勤めていたときの収入と同じくらいですね。

――仕事で掛かる経費はどんなものがありますか?

まず、結婚式当日に雇うアシスタントさんにお支払いする日給です。基本的に結婚式までは全部一人で仕事を回しているのですが、当日は椅子やテーブルなど色々な荷物を運んだりするので大体2名のアシスタントさんに来てもらっています。ほかには物品の持ち運びのために機材車としてハイエースを使用しているのでその維持管理費用、会場の装飾品などを保管するための倉庫の賃料、打ち合わせ場所までの交通費、打ち合わせが全部カフェなので飲み物代などですね。

――結婚式にはプロデュース料以外にもいろいろなお金が掛かりますよね。そうしたお金はカップルからたもつさんに一括して支払われるのでしょうか?

アシスタント以外の主な支払先は、「会場」「司会者」「照明・音響担当者」「花屋」「カメラマン」「料理担当者」「ヘアメイク」などですね。そうした業者さんへの費用の支払いは、お客さまから一括してお預かりして、それぞれの業者さんに振り分けてお支払いしています。

――それはかなりの手間ですね……。支払いなどのお金の管理はご自身でされているのでしょうか?

そうですね。エクセルで全部管理しています。イベントプロデュース会社にいたときも経理も任されていましたので、そんなに大変さは感じていません。むしろゴチャっとしたものをスッキリと整理するところに楽しさを感じています。あと大変なことといえば、確定申告ですかね。 私はアナログ人間なので、確定申告で計上する領収書などもエクセルで管理しています。

写真提供/たもつゆか

写真提供/たもつゆか

たった一日限りのイベントに全てをかける

――お話を通してプロとして全身全霊でお仕事をされているんだなと感じました。そんなたもつさんにとって、働くモチベーションとは?

お客さまから「ありがとう」と言っていただく、それだけのために仕事をしている感じですね。たとえば、最期に自分の人生を振り返るとき、結婚式というのは必ず浮かんでくる大切な思い出になるはずなんです。何十年も深く心に残る思い出というのは、とても重いものなので責任を持ってサポートしていきたいと思っています。

――最後に、フリーランスのウエディングプランナーとして、これからも大切にしていきたいことについて教えてください。

お客さまのご要望をできるかぎり実現させていく、ということですね。そのなかに、私なりの好みや感性を活かして提案をさせていただきたいと思っています。たとえば、郷土料理やお母さんのレシピをお借りして婚礼メニューを作るなど、よりオリジナリティあふれる結婚式を考えていきたいですね。

(末吉陽子+ノオト)

取材協力

たもつゆかさん

1973年9月12日生まれ。約12年間で500組の結婚式をプロデュース。規制品の決められたウエディングではなく、ナチュラルであり、由来を大切にしたオリジナルウエディングを得意とする。米国ウエディングスビューティフル資格認定「ウエディングスペシャリスト」「英国国家認定EDIウエディングプランナー」取得。
▼フリーランスウエディングプランナー wedding+912 たもつ ゆか
https://wedding912.com/

この記事の筆者

末吉陽子

編集者・ライター。1985年、千葉県生まれ。日本大学芸術学部卒。コラムやインタビュー記事の執筆を中心に活動。ジャンルは、社会問題から恋愛、住宅からガイドブックまで多岐にわたる。
▼公式サイト
http://yokosueyoshi.jimdo.com/

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