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2017/06/13 up

個人事業主の屋号は必要?屋号があるメリットと決め方とは

text by 杉本康

名刺を出す男性

個人事業主として開業するときに、悩みの一つとなるのが屋号。屋号は事業の中でどのようなときに使われ、屋号を決めておくことにメリットはあるのでしょうか? 決めるときの注意点や、決めた後の対応を解説します!

そもそも屋号とは? 絶対に必要?

屋号は会社でいう社名のようなもので、個人が事業を営む上で使う名前のことです。たとえば、「佐藤食堂」や「加藤建築」のように、店舗名などを指すのが一般的です。屋号はあくまで個人が自由に決めるもので、絶対に必要というわけではありません。仕事をしていく上であった方がいいと思ったときに、屋号を決めればいいのです。

 

屋号はいつ使うの? メリットは?

屋号は、次の場面で使うことが多々あります。

 

・名刺
・店の看板
・ウェブサイト
・商品(たとえば、「佐藤食堂の唐揚」)
・銀行口座名義
・請求書
・領収書

 

屋号を使わずに事業を営むということは、これらの場面で常に個人の名前が使われることになります。個人名では、中々どういう職種でどんな仕事をしているかの想像がつきません。屋号をつけるメリットを一言でいうとすれば、事業内容が周囲にわかりやすく伝わるということです。

 

屋号の決め方

屋号があるメリットを最大限生かそうと思うと、「加藤建築」のような「個人名+仕事内容」がわかりやすいでしょう。とはいえ、そうではない屋号をつけたい、という人もいるかと思います。その場合は、以下のポイントを参考にするとよいでしょう。

・覚えやすい
「アップル」「グーグル」など有名な企業は、短く(もしくは省略されて)覚えやすい名前になっていることが多いです。長すぎる屋号だと相手から「なんだっけ……?」と思われてしまうことも。一度で覚えやすい屋号を意識しましょう。

・読み書き、呼び聞きしやすい
屋号は書いたり、電話などで伝えたり、人に読まれたりする機会が多々あります。相手も自分も読み書きしやすく、呼び聞きしやすい屋号かどうかを考えましょう。

逆に、法律で屋号には使ってはいけないと決まっている単語も存在します。それは、「会社」と「銀行」、およびその外国語表記です。屋号は法人ではなく個人のものだからです。また、同業他社が使用している名称や、世間一般に知られていてそれと誤解を受けやすいといった名称も避けた方が無難です。

ちなみに、個人はいくつでも屋号を取得できます。2つ以上の事業を営んでいるのであれば、同じ鈴木さんが「鈴木美容院」と「鈴木マッサージ店」という2つの屋号を持っても構わないのです。ただし、税務署はあくまでも鈴木さん1人の税額を記した1つの確定申告書を処理します。そのため、2つの事業の合計の売り上げと、合計した経費を申告する必要があります。

 

屋号を決めた後の手続き

屋号を決めたら、開業届に記入して提出するだけです。申請費用などは一切かかりません。すでに開業届を屋号欄に「記載なし」で提出している人も、屋号を変更したい人も、その年以降提出する確定申告書の屋号欄に新しく決めた(変更した)屋号を記載すれば問題ありません。

 

屋号入りの口座で還付金を受け取る際には注意が必要!

個人事業主は「屋号+個人名」で新しく事業用の口座を開設することができます。日頃の仕事で発生するお金のやりとりは、屋号入りの口座で管理すると、わかりやすいでしょう。ただし、注意が必要なのが確定申告の後に還付を受けるときです。国税庁の「税金の還付」に、次の記載があります。

 

Q43 還付金の受取りに預貯金口座への振込みを希望する場合、注意することはありますか。

A 還付金の受取りに預貯金口座への振込みを希望される場合は、確定申告書の「還付される税金の受取場所」欄に、ご本人の取引している振込先の金融機関名、預貯金の種別及び口座番号を正確に記載していただくほか、次の点にご注意ください。

(1) 預貯金口座の口座名義について
 還付金の振込みに指定できる預貯金口座は、申告者ご本人の口座に限られます。
[注] 預貯金口座の名義については、ご本人の氏名のほかに店名、事務所名などの名称(屋号)が含まれる場合、振込みできないことがありますので、ご本人の氏名のみの口座を指定してください。
 また、旧姓のままの名義である場合には、振込みができませんので、ご注意ください。
 なお、納税管理人の指定をしている場合は、その納税管理人の名義の預貯金口座となります。
出典:国税庁ウェブサイト【税金の還付】

 

税務署は確定申告書を処理する際に個人名で手続きを行うため、屋号入りの口座ではうまく振り込まれないことがあるようです。対策としては、このときだけは個人名の口座を使用する方がいいでしょう。

屋号は絶対に必要なものではありませんが、決めるときは使われる場面を想定し、事業を営む上で効果的なものを設定したいですね。

(杉本康+ノオト)