> マルナゲとは?

2016/09/12 up

独立して起業、健康保険・年金はどうする?社会保険のプロに聞いてみた

text by 松木淳

デスクで説明する男性

近年、働き方の多様化とともに働く場所にも変化が起こっています。コワーキングスペースやシェアオフィスを活用すれば、自身のオフィスを構えなくても事業を始めることができ、会社員から個人事業主へと独立しやすい環境が整ってきているともいえます。しかし、個人事業主は自由な働き方ができる一方、社会保険や福利厚生など、会社員だからこそ受けられていたメリットを失うことになるのも事実です。

社会保険労務士の青木寛文さんによれば、「独立直後の社会保険には注意が必要」といいます。その理由とポイントを伺いました。

個人事業主と会社員の社会保険制度は違いが大きい!

――まず、社会保険労務士のお仕事内容について教えてください。

私が主に担当しているのは、企業の人事労務管理のコンサルティングや、社会保険、労働保険手続きのアウトソーシングです。たとえば、企業の給与計算や、年金事務所に提出する申請書の作成と手続きの代行などをしています。

――「社会保険」と「健康保険」の違いは何ですか?

一言で表現すると、社会保険には病気や怪我をした場合など医療費を一部負担してもらえる「健康保険」と、老後に年金を受け取ることができる「厚生年金」の制度があります。要するに、「健康保険」制度は社会保険制度のうちの一部ということです。もうちょっと広い意味では介護保険や労災保険、雇用保険なんかも社会保険に含まれますが、一般的には健康保険と厚生年金の意味で使われることが多いですね。

――個人事業主と会社員の社会保険はどう違うのでしょうか?

普通、会社員であれば、「社会保険」(健康保険・厚生年金)に加入することになります。保険料は勤務先の会社と半々で負担するようになっており、年収130万円未満の家族がいれば扶養に入れることもできます。扶養する配偶者の国民年金保険料の負担がなく、また、扶養が何人いても保険料は変わらないので、扶養親族が多いご家庭ではメリットが大きくなりますね。

一方、個人事業主は基本的に「国民健康保険」と「国民年金」に加入します。国民健康保険料は家族の人数と前年の所得をもとに世帯単位で計算されます。「扶養」の考えはないため、家族の人数が増えれば、その分保険料も加算されます。また、国民健康保険料とは別に、「国民年金保険料」も納付することになります。2016年の国民年金保険料は月額1万6,260円です。社会保険で扶養する場合とは違い、配偶者も国民年金保険料を納付する必要があります。

マルナゲ_1608_C005_会社から独立、健康保険はどうする?社会保険のプロに聞いてみた (2)

加入に条件のある「任意継続健康保険」とは?

――個人事業主として独立する際、社会保険で注意すべき点はありますか?

まず、退職後の健康保険には、「任意継続健康保険」、「国民健康保険」、「ご家族の健康保険(被扶養者)」の3つの選択があります。

「国民健康保険」は前述の通りです。「ご家族の健康保険(被扶養者)」は扶養に入ることなのでイメージしやすいですよね。「任意継続健康保険」とは、一定の条件を満たせば退職後2年間は会社員のときと同じ健康保険に入ることができる制度です。ちなみに、任意継続があるのは健康保険だけで、厚生年金にはそのような制度はないため、国民年金に加入します。

――「任意継続健康保険」で会社員時代と同じ健康保険を利用すると、保険料は会社員時代と同様にどこかが半分負担してくれたりするのでしょうか?

残念ながら、保険料は全額自分で負担する必要があります。任意継続健康保険は、退職時の標準報酬月額によって保険料が決まります。標準報酬月額は上限が設定されていて、2016年の上限は28万円です。一方、国民健康保険は前年の所得、家族構成、お住まいの地域によって保険料が決まります。そのため、お住まいの市区町村役場でご相談のうえ、この先2年間の収入状況や家族構成を勘案したうえで、どちらにするかのご検討されることをオススメします。

――どちらが得か、しっかりシミュレーションしたほうが良いですね。
いえ、それがあまりじっくり時間をかけることもできません。というのも、任意継続の健康保険は、退職日の翌日から20日以内に手続きをしないと加入できません。そのため、どうしようか考えていたうちにその期間を過ぎてしまったなんてことも……。そのため、任意継続健康保険に加入するかどうかは退職する前に決めておいた方が安心です。
どちらを選択するか迷われるようであれば、とりあえず任意継続健康保険を選択しておいてもよいかもしれませんね。

(松木淳+ノオト)

取材協力

ホワイトボードで説明する男性

青木寛文さん

社会保険労務士事務所 日本労務パートナーズ 代表
大学卒業後、中小企業の財務・労務を支援するコンサルティング会社に就職。自らも管理職や新規事業の立ち上げなどに関わり、13年間をコンサルタントとして活動。在職中に社会保険労務士資格を取得後、2016年に独立。

▼社会保険労務士事務所 日本労務パートナーズ
http://www.nihonromu.com/

この記事の筆者

松木淳

株式会社エフアンドエム所属 「マルナゲ」の名付け親。営業部門マネージャー、商品企画、新規市場開拓などを経て、会計サービスのマーケティングを担当、現在に至る。

ほかの記事を検索する

関連ワード